公開講座「嚥下のしくみから学ぶ介助の方法」アンケート結果
講師:医療法人三せつ会 井出浩希氏
(内視鏡検査:同法人理事長山下直哉歯科医師)
参加者:52名(外部32名、苑内20名) アンケート回収42名
1、感想等
・デイで働いていますが、嚥下状態をアセスメントするには今日の検査を訪問してやっていただけると対策の幅も広がるしありがたいと思う。
・身体機能だけに目が行きがち。栄養状態を把握しなくてはと思った。十分な栄養摂取、誤嚥を予防すること等多職種での連携が必要だと改めて感じた。
・検査の動画を交えた講義でわかりやすかった。なかなか考えることのないことだったので勉強になった。
・リハビリを主に行っているが、嚥下には、なかなか触れる機会がないため勉強になった。
・実際の飲み込みの映像や実演があり非常にわかりやすかった(ほか18人)
・完全側臥位には驚きました。
・食事量を増やすより、栄養を増やすことを考えていきたい。
・初めて、嚥下の講座を聞かせてもらい、喉の中の機能について詳しく知ることができて、今後の介助に役立てられると思った。
・外部の方が大勢みえて、良い緊張感の中で聞くことができた。
・食事の時間(デイ)は、少し気がゆるむので観察のポイントとして注意したい。
・安全な経口摂取をデイの現場でどう実践するか。今後の話の展開に期待。
・とてもわかりやく、勉強になった。(2人)
・質の高い内容で構成もわかりやすく素晴らしかった。
・語り口も聞きやすく、熟知してみえることがよくわかった。
・高齢者、個々に違うので、検査して専門性のあるアドバイスが大切だと感じた。
・老人だから・・認知症だから・・という先入観を捨てて考える大切さを知った。
・きちんと検査しどの姿勢がよいのかを知ることも大切。前屈がいい!との先入観。
・開始時間・・もう少し早いとありがたいです(お腹が空く)
・専門分野について詳しく説明され、とてもよかった。
・とろみの介助の統一をしたい。(2人)
・嚥下の状態を理解することの大切さを知った。
・側臥位はよくないと思っていましたが、いい時もあるとわかった。
・ST領域の嚥下をPTが関わっているとのことで今回の講座を希望した。VE、VF検査をもとに食事形態や体位を決定していく過程がよくわかった。
・VEの実際の検査を見ることができ誤嚥がどのように起こるのか確認することができた。次回は、誤嚥のリスクがある方への実際の介助の方法を知りたい(1回量、気をつけることなど)
・VEにより、喉の状態や体位がよくわかり学ぶことができた。
・嚥下治療の原則のピラミッドは局所の運動により安全な経口摂取が重要と学べた。
・時間はこれくらいでよい。
・栄養士さんや調理される方にも聞いてもらえるとよいと思った。
・内容はとても良かった。職員全員に講座を受けさせたい。今日の講座を何度もやってもらいたい。
・時間もちょうど、場所と共に受講しやすく良かったです。(3人)
・嚥下障害への対応方法も具体的で現実的で試してみたい。
・今までは、誤嚥はただ気管に入るだけと思っていたがその原因は様々であり、どのような流れで誤嚥するのかがわかりやすく理解できた。
・とてもわかりやすかった、食べることをあきらめない!ことが大切。
・今日参加してない職員さんにもぜひ聞いてほしい内容だった。
・食事の際むせる入居者さんを思い浮かべながら話を聞かせてもらった。
・今までのあたりまえ(ゼリーや姿勢など)が、あたりまえではないと思った。
・とろみ剤のことを知りたい。
・喉の中を実際に見たのは初めて!資料で見たことはあっても実際見るのとでは違うので大変勉強になった。
・7時ころからのが出やすい。
・時間遅いほうがありがたい。
・嚥下のしくみ・・と思うとただの飲み込みということを考えてしまうが、口と喉の別々の機能が原因ということがわかってよかった。
・今後の仕事に活用したい。
・個々の食べられない原因を探すこと、改善していくことの重要性、必要性が理解できた。
・今日のような研修会をまた開いてもらいたい。
・場所を広いところにしたらもっと沢山の人が聞けた。そのくらい、大事な講座だった。
2,質問等
Q : 体力の回復はあるが、とろみや食事が回復しない方に対してどうしたらよいか。
A : 体力とともに栄養状態が改善しているかが重要です。体重がどのように変化しているか、若い元気なときと比較することが重要です。歩けていた方が歩けなくなったときに体力の回復とともに歩けるようになる方もいますが、歩けないままの方もいらっしゃいます。残念ながら回復が難しい方には、新しい生活のスタイルを築いて頂く必要があります。どうしたら新しい生活を継続することができるか(どうしたら美味しいトロミや食事が食べられるかなど)、嚥下障害がある方を皆で支えていく姿勢が必要と考えます。
Q : とろみを勧められても、まずいから嫌だと言われ結局つけずに肺炎を繰り返す事例に対してどうするか
A : まずは、なぜトロミをつける必要があるのかを正しく説明する必要があります。もし適切な検査や評価がなされていない場合には専門家に相談することを勧めます。
とろみをつけないと誤嚥して肺炎になってしまうという事実を受け入れることはとても難しいことです。例え肺炎を繰り返しても、これは誤嚥によるものではない、もしかしたら大丈夫なのではないかと思い、障害を受容することができないのかもしれません。「トロミをつけたくない」と訴える方に対して「トロミはおいしくないし、つけたくないですよね」と同意してしまうと、そこで立ち往生してしまいます。私たちは「トロミをつけたくないと思われるのですね」と受け止めながら、その方がなぜそう思うのか、時間をかけて解決の方法を見つけていくことが必要と考えます。
Q : 認知症でかきこんで食べてしまう方に対してどう対応するか。
A : かきこんで食べてしまう原因を考える必要があります。認知症以外の問題として、口と喉の間の弁の機能を果たしている軟口蓋がうまく上がらないという問題があります。このような問題がある場合には、自分の力で軟口蓋を持ち上げられないため、代償的に食べ物をたくさん詰め込み食べ物の力で軟口蓋を押し上げて食べている可能性があります。安全に食べられるようにその方の機能に適した姿勢や食事の形態を検討する必要があります。
認知症によるかき込みに対しては、スプーンを小さいものに変更したり、コース料理のように少しずつ提供するという方法が紹介されることがあります。またワンプレート、松花堂弁当に入れて提供することでかき込みが少なくなったという方法も紹介されています。他の利用者の動作が原因で摂取速度が速くなってしまう可能性もあるため、刺激の少ない静かな環境で食べて頂くことがよい可能性があります。
Q : ご飯を噛んでいる間に疲れてしまうのか?後のおかず等が食べれなくなる方がいる。この場合お粥にしたらよいのか?
A : おかゆは米(固形)と水分が分離した食事形態であるため、喉の機能によっては水分を誤嚥しやすい形態です。咀嚼能力(口の機能)だけで判断するのではなく、のどの機能も考える必要があります。むせの有無や痰、体重などをモニタリングしながらお粥が適切かどうか判断する必要があります。
なお、おかゆにすると水分の含有量が増えるため、同じ量を摂取してもご飯と比較すると摂取できる栄養量が減ってしまいます。するとご飯よりも量は食べることができるが、栄養摂取量は少ないというジレンマに陥る可能性もあります。この問題については、水分を少なめにし、軟飯に近い形にすることで解決できる可能性があります。
Q : 内視鏡以外での確認方法はないか、食べ物で嚥下の確認ができないか。
A : 水飲みテストや少量の食物を使用したフードテストによりある程度嚥下機能について予測することができます。しかし、誤嚥しないと問題が発見できない可能性が高いため、高齢で免疫力のない方に対しては、非常にリスクが高い方法になります。見えない部分を予測しながら判断していくことになりますので、経験が必要になります。
3,今後、講座で希望する内容等
・食事前の、嚥下体操、嚥下マッサージの方法
・認知症の対応について
・リハビリと栄養
4,嚥下内視鏡検査について
ぜひ、取り入れたい・・・7名
検討したい・・・18名
今のところ必要ない・・・10名
12月 13, 2016 2:02 pm カテゴリー: お知らせ